ビオトープから知る多様性の真実
「置いてある本がビオトープの仕事に関係することばかりで、びっくりしました」と、ある人から当店が取り扱う本に関しての感想をいただきました。それがきっかけで、世の中が叫んでいる多様性の真実を知ることになった話です。まあ、ちょっと大げさですけどね。
「ビオトープは、地域の野生のいきものの生息空間です。おそらくびっくりされるくらい関係書ばかりです」とも伝えて下さって、狙わずしてだったので、ビオトープについてよくわかっていないのですが、喜んでいました。
何日か後、店内にいま飾っているサフランの花をインスタグラムに投稿すると、『食べられる庭図鑑』にサフランが紹介されていて興味を持っていたというコメントをいただきました。
この本は、当店で取り扱っています。「食べられる」に惹かれて仕入れた店主でしたが、コラムページを改めて熟読すると、ビオトープのことが紹介されていたのです。
著者は、良原リエさん。
ライフスタイルすべてが活動・表現の場になっているという音楽家です。
植物のある暮らしが好きな良原さんは、育てる楽しみを経て、できるだけ自然な状態で育てたいという思いへ至ります。それには、植物に付く虫を自分で取り除くのではなく、それらを好む虫をここへ呼ばなくては。でも、どうやって?
そんな疑問から、自分が注目しているのは、植物だけではないか。自然の環境を無視している、と気づきます。そこで、環境を考え、実践していくことにしたのです。すると、
多種多様な植物を植えることが様々な生き物を庭に呼ぶことにつながり、食物連鎖が生まれ、小さいながら生態系のバランスが取れるようになることがわかりました。
求めていたのは「ビオトープガーデン」だったのです。
小さな自然が営まれ、循環しているのを感じます。そうなると、庭が勝手に育つようになります。必要最低限の手入れだけで、植物たちは、元気にのびのびと、生き生きと育つようになるのです。
これを読んだとき、店主は、「植物」を「人間」に、「庭」を「家」「学校」「地域」「国」「地球」に置き換えられることに気づきました。
育てること作ることに必死にならなくても、大切なことは「多種多様」なのかもしれない。
多種多様な人は、さらに様々な人を呼び、生き物、食べもの、様々なものを呼び、考えが飛び交い、違いを認識し、補い合い、バランスがとれるようになる。
バランスがよいと、元気にのびのびと、生き生きと。「多様性」がいま叫ばれる大きな意味を理解できたように感じました。
何かを育てよう作り上げようとしているひとには、つまり、すべての人間には「多様性」が必要。ということは、自分が、その対象とする人を、否定せず、批判せず、認め、受け入れることが必要ということでしょう。
そのためには、自分のことをそうすることがまずは必要で、と店主の頭はすでに知っています。自分が自分を肯定する。その方法としては、いろいろありますが、ビオトープガーデンを通しての実感もその一つあるのではないかと発見したのでした。
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